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2005.10.30

思えばもう、九年と八ヶ月もたっていた。

時は、いつも速い。

けれどお前に内在した時達は、かくも緩やかで、穏やかで、幸せだった。

ゆえにお前が幾度と無く見せた寝顔もまた、幸せを有し、それを外へ、外へと。

恐らくお前は意図しなくとも、広げていたのだ、人の心へ。

お前の寝顔に小さな笑いをもらっていた、それはいつも。

今日のお前の寝顔も普段と全く変わらない、しかしなぜ、

今日だけは涙が止まらない。

全く変わらない、と断言したのは俺がそう信じたいからか、

不意にお前の頬、耳、腹、前足は、すでに冷たい。

ふさふさの毛並みと、やわらかな表情と、その温度を残して、

お前は去ってしまうのか。

撫でた。

叱った。

苺のヘタをあげた。

ほおずりした。

噛まれた。

起こされた。

心配した。

踏まれた。

――温かかった。

俺の記憶、思い出、感情、愛情、すべて残して

お前は行ってしまうのか。

いつもと同じのその愛くるしい寝顔が、

更に涙を誘うのはなぜなのか。その答えを、

俺は知っている、言えなかったからだ。

どうか夢で、お前に会えたら。

好きなだけクッキーをあげるから、いくらでも撫でるから、

ありがとう、を言いたくて。

でも言えなくて、この涙は止まらないのだろう。

愛された、小さなウサギよ。

お前が去っても、お前のいた九年八ヶ月と、

この涙は確かに残る。

しかし残らないものもある。

それを、あえて俺は追い求めはしない。

それでも、悲しみは絶えないから、ここに今、想いを記す。

そしてお前がくれた幸せを、今度は他の誰かにあげられるように、

いつまでも忘れない。


ありがとう、アムール。
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